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ところが、くる日もくる日もコポルは笛を吹きつづけましたが
ちっともうまくならなかったのです。美しい音楽を 奏でるどころか
きれいな音のひとつも、まだ鳴らせずにいました。
村の人たちはもちろん、犬や猫たちでさえ
コポルが笛を吹くと、アッという間にいなくなってしまうのです。
それほどまでに、コポルの笛はひどい音しか鳴らせませんでした。
しかたがないので、コポルはだれもいない 村はずれの岩山で
笛のれんしゅうを していました。岩山にころがる岩や石たちなら
さすがに笛を吹いても逃げ出すことはありません。ただこの頃、コポルはすこし
笛を吹くのがイヤになりはじめていました。
「この笛に、かしの木の精霊が住んでいるんなら
どうしていい音を鳴らしてくれないのさ!」コポルはふてくされて、ごろりと岩山にねそべりました。
そよそよと夕風(ゆうかぜ)がふいてきます。
空は夕やけに、赤く染まっていました。
しくしく…どこかで小さな子どもの泣き声が
かすかにしたのは、そのときです。
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