「夜空畑で」

Poem by 美春




なにも気にしないでいいんだよ

君はただ空の畑を耕してればいい



実り豊かなこの空...星こそが原産物 地上に星を輸出するんだ

星一個...想像の一億円

心のリッチな人にはすぐにでも買える

心の中にいろいろな宝物をしまっている人たちはきっと

空の畑で君が育てた星たちを気にいるにちがいない

星コレクターや星エージェントに連絡してみるのも悪くないよ

でも夜の仕事だ

つらいこともあるだろうね

たとえば

ひとつの星を争って いろいろな人たちがけんかをするかもしれない

そういうとき 君は仲裁にはいらなけらばならないんだ

巻添え食って顔面パンチ受けて 目の回りがあざになったりしてね

乱暴者は確かにいるさ

でも彼の傍らであどけなく微笑んでいるお嬢ちゃんを見てごらん

彼女はきっと乱暴者の優しさの象徴 

ちっちゃなイマジネーションなんだね

だからそういう人には五十円くらいにまけておいてあげればいい

そうすれば想像力豊かに広がっていくと思うんだ

心のリッチな人から二十億円くらいまきあげるのもいいね

でもちゃんと領収書わたさなければだめだよ わかったね



お祭りの日とかは夜店なんか出すといいかもね

花火なんかがあがっていると君の店 きっとひきたつと思うんだ

にぎやかなお祭りの中 星たちは夢を見るんだろうね



山中から輝く星っていうのは貧乏人にはなかなか手が出ない代物だね

だって”静けさ”が散りばめられているんだものね

これはすごく稀少価値があってなかなか手に入りにくいんだって

だって人は何もない”静けさ”の所には住めないものだからさ

だからほんとに『欲しいな』って思っている人は

ちょっと旅をしなければいけないんだよね

心に風景をたくわえるためにね



さて

そろそろ開店準備をしなきゃね

王子さまを招待するといいよ

チラシもくばらないとね

でも近所だけじゃだめだよ

閑古鳥じゃ空に悪いもん

だから手伝うよ

世界中に届けてくる

え?

ぼくが誰かって?



...風

風だよ











comment


「夜空畑で」


随分と前に書いたものです。

最初に

「夏の夜にぼくらの星を売る

   冬の灯りにぼくらの星を売る」

そんな言葉がありました。

そこから生まれました。



Poem & comment by 美春



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