「友情の種」

Poem by 美春




あなたを想いながらわたしは風に吹かれている

住み慣れたこの街の行きつけのベンチで

あなたを想いながらわたしはノートを開いている

あなたと出会い育んだ季節の途中で

わたしは淋しい人間ではないことを思い出した

わたしに持てるものはこのノートだけ

あなたの後ろにある言葉を綴るために

できるならあなたの旅路を照らすために



あなたはわたしの見上げる星空に抱かれて

わたしはあなたの見上げる星空に抱かれて



わたしたちは意識の底で見ていた

夕べの月にかかる明日の虹を

神経を患った地上の天使を

やがて癒されていく天使の傷を

いにしえの記憶の底で見ていた



あなたはわたしの見上げる星空に抱かれて

わたしはあなたの見上げる星空に抱かれて



風の音でめくれるページ

どこまでもいつまでも紡がれる言葉たち  

あなたが痛みの雨に打たれているとき

わたしが悲しみの海で溺れそうなとき

どこまでも辛抱強くそこに生命が宿るまで

いつまでもぬくもりの雲のように身体浮かべ

わたしたちの歩みを魂運ぶ小鳥にゆだね

あとから来る人たちの目じるしに小石置き

そして彼らもまた旅に出るのだろう












comment


「友情の種」


ずっと昔に蒔かれた友情の種がいろいろな人々の心を灯し

やがて大きな弧を描いて永遠の物語を紡ぎあげる..

そんなことを思い描きながら書いていました。



Poem & comment by 美春



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