星降る果て
Poem by 野田りある
無数に貝殻の散らばる海岸
防風林のむこう側では
インラインスケート選手権
司会者の実況と
海へ届くダンスミュージック
穏やかな波音
水面と大気圏のあいだ
満たされた見えない力
凪いだ沖に魚が跳ね
波打ち際に鳥が舞い降りる
ひときわ濃い雲から
隠れた太陽の居場所を示す
直線に降り注ぐ光
潮の満ち引き
惑星を包む風の守り
その只中に
容(かたち)として居るすべてのもの
雲の裏には
宇宙の薄らいだ色が遥かに拡がり続いている
海を見に来た
電車を乗り継いで
夕焼けを見に来た
靴に砂が入るのもかまわず
徐々に赤みを帯びていく
空だけでなく
人も犬も自転車も
ホテルや工事中の鉄骨さえ
同じく染まる
しあわせもふしあわせも同じく染める
時間軸に従い至った
すべての歴史
交錯する運命
重ねられてゆく
63億人それぞれの約束
150億年途切れぬ時の辿りつく果てに
だれもが生まれ
わたしはここに
comment
拡がりのあるものを書きたかったのです。
(わたし)は、すべての人へ。
Poem & comment by 野田りある