「星」 poem by らい 夜は空に星を浮かべ 私は目に涙を浮かべ 空がその身に星を流す頃には 私の目はとうに乾いていた 星は願いを叶えず 私の声は君には届かず 大気の中に曖昧に塵となって消えていった 冬の空気は透明で 私の瞳には満天の星空 君の瞳には街の灯り 映ってキラキラ瞬いた 君に見て欲しかった あの星の色 星の輝き 私が美しいと思うもの そして認めて欲しかった 君の瞳の中で私もキラキラ輝きたかった 君は空を見なかった 街の灯りは眩し過ぎた 私の影は逃げていった 冬の空気は透明で いつもは見えないものが見えた 見えなくていいものまで ちゃんと 見えた 私はそれを見えない振りをして 一人 無様に叫び続けた 冬の空気は透明で 冷たくて 痛かった 手の指先から足のつま先から 冬は容赦なく凍みた 血は淀み 肉は縮む 火照る感情 ぬるい思考 熱 全てを奪われて 芯が残った 私は      もう叫ぶのは止めよう 喉はカラカラ 傷がたくさんついた 聞こえない言葉が これ以上 宙をもがくのは虚し過ぎる 星は願いを叶えない 見守るだけだと分かっている あの星の色 星の輝きは 今も私の瞳に映り 目を閉じても残像が瞼の裏に映り 私は此処にいる 空を見上げて此処にいる 朝は空に陽を浮かべ 私は空に心を浮かべ 空が陽をその頭上に高々と掲げる頃には 私はその光を浴びて 冷え切った身体は熱を取り戻し きっと 歩いてゆける そっと ゆっくり 歩いてゆこう
comment 美しいと思うものの一つ 「星」 実は星座もよく(いや、全然)分かっていないんだけれど 私がどんなに醜い心理状態でも美しいと思える そこに真実が見えるような気がします Poem & comment by らい



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