「葦毛(あしげ)の山々」



弥生

それは早春の季

北国の原野は雪に深く覆われているけれども



とてつもなく大きな葦毛の体を横たえた山々

その健やかな息遣いと心臓の律動は

春を誘う大気に共鳴する



葦毛の山にしのび舞う

早春の妖精

木々の芽は日毎に膨らみ

地表と雪の僅かの隙間に

草木の芽は頭をもたげる

木の幹の周りの雪はロート状に溶け

草木に宿る雪は

日の光に雫となって

大地に沁みこんで行く



俊足の葦毛の馬は

早春の山野を駆け巡り

萌え渡る新緑が目に沁みる大自然を

繰り広げていくことだろう






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毎年三月の声を聞く頃になると、私には、

毛並みの良い葦毛が生き生きとしている姿に山々が見え、

その鼓動が伝わってくるように感じられるのです。

これは、私にとって、春の訪れを告げる第一報なのです。

そして、ある時から突然新緑の世界が展開されていきます。


注)葦毛(あしげ)とは、白に黒のまじった馬の毛の色のことです。



PhotoPoem & comment by Takakatsu.T.


tallforest@vanilla.ocn.ne.jp



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