KUMA's Room Part.30



「おかえり」

家に入ると、ノボックたちの

げんきな声にむかえられた。


見ると、窓辺に置かれた

シクラメンの鉢から

ノボックとカミラが

顔をだしている。


雪のように白いシクラメンを見ていると、

「フィンランドの雪景色を思い出すのよ」...ってカミラが言った。



フィンランドといえば

サンタクロースのふるさとだ。


部屋に飾られたクリスマスツリーにも

あたらしく“白いサンタ”がやってきた。


「や、くまくん、ごきげんよう!」


彼は三日月と星をしたがえて

枝から枝へ、かろやかに飛びながら

Ho Ho Ho.....と笑った。

それからウインクすると下の方を指さした。



おや?・・ツリーの足もとに見なれないものがあるぞ。

それは、謎の赤い小箱だ。

ボルボックルや、ベラビックルもやってきて

みんな、箱のまわりに集まった。



「開けようか?」

「いや待て、アブナイ!」

「箱を開けたら煙が出て年寄りになるかも...」

「それじゃあ、玉手箱でしょ?」


「ふむ、海賊がかくした財宝かもしれぬぞ」

「食べ残しのお菓子じゃない?」

「爆弾だったらどうする?」

....ワイワイ、がやがや

みんなはひとしきり、好き勝手なことを言い合った。

「開けてみなきゃ、わからないよ」

おいらがそう言うと、みんなは顔を見合わせ・・うなづいた

・・・あっ

  箱を開けると

夢のようにキレイな音楽が

こぼれだしたじゃないか!


それはオルゴールだったんだ。


みんな、うっとり聞きほれたよ・・


そのとき


ツリーのてっぺんから“白いサンタ”の声がした

「Merry Christmas &
       A Happy New Year...」

そっか・・・あたらしい年がはじまるんだ!

あたらしい年

それはたぶん、何が飛び出すかわからない

謎の小箱 みたいなもんだ。

「新しい年はどんな年になるのかなー」

「世紀末だ、何が起こるかわからないぞ

「ノストラダムスの予言も気になるわ」

「ノストラダムス?何だそれ・・恐竜か?」

....ワイワイ、がやがや

またひとしきり盛り上がったあと、おいらは言った。

「明けてみなきゃ、わからないよ!」

そう!おびえた羽じゃ、高く遠くまで飛べない。

美しい明日を信じて、未来の扉はみんなで開けるんだ。

オルゴールの調べの向こうから、

サンタの声がもういちど

雪のように降ってきた。


「Merry Christmas &
       A Happy
New Year」


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*1999年に世界は破滅する...そんな「ノストラダムスの大予言」が
 まことしやかに囁かれ、人々の恐怖心をあおっていた前年(1998年の暮れ)
  (くまたちが住む、クプカ家でのクリスマス風景でした・・・)


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