KUMA's Room Part.38


夏の楽しみと言えば、この間、こんなことがあった。

夜だというのにやけに家の外がうるさいので何ごとかと
ノボックやカミラ、ボルボックル、ベラビックルもいっしょに
音のする方へ出かけてみたんだ。

すると、空がひらけたところで、たくさんの人が
空を見上げてる。もちろん、おいらたちも
おなじように見上げてみたよ。

すると、どうだい!!



夜空に花がパッと咲いたんだ!

春には地面にいっぱい花が咲いたけど
夏には 空にも花が咲く なんて

知らなかった。

花たちは大きいだけあって、咲くときもハンパじゃない。

パーンドーン、ヒュルヒュルヒュル...

そりゃあ、にぎやかなものさ。

夜空の庭 に、色とりどりの花がつぎつぎ

大輪の花を咲かせた。



どの花も光り輝いて

夢のようにキレイだったよ。

でも不思議なことに

ぱっと咲いて

ぱっと散る。




なんてみじかい、いのちだろう....

あの花びら、どこに散っちゃったのかな

足もとの地面をさがしてみたけど

花びらなんてどこにも、落ちてなかった。



花が咲かなくなると、ふいに辺りはしずかになった。

いっしょに見ていた人たちも、ばらばらと帰って行く。

「うん?どっかでちがう音がするぞ」ボルボックルが言った。

耳を澄ますとたしかに、笛や太鼓の音がかすかに聞こえる。

昼間の暑さを冷ますように、気持ちのいい涼やかな風も吹いていた..


もうすこし、夜の散歩を楽しむとしよう。



笛や太鼓にさそわれて行くと

クリスマスツリーみたいに
広場には、明かりが灯ってた。

まん中に組まれた台のうえでは、
太鼓をたたく人、笛をふく人・・・
下では、浴衣を着た人たちが、輪になって踊ってる。

どうやら「夏祭り」らしい。


「フィンランドでも夏になると、みんな輪になって踊ったものよ」
カミラが、なつかしそうに言った。



いろんな夜店も出てる。

おや?あれは、何だろう...

水のなかで何かうごいてるぞ。



それは「金魚すくい」という名の、遊びだった。


水そうの中を泳ぐちいさな赤い金魚たちを
うすく貼られた紙のうえにそっとすくう。

なんか、変な遊びだけど

紙が水でやぶれないように気をつけて
そーっと、すくう...

子どもたちは、とった金魚を
透き通ったビニール袋に入れてもらうと
うれしそうに帰って行った。


はだか電球キラキラ、女の子の赤い帯ひらひら
金魚の尾びれもゆらゆら...揺れて

なんだか魔法にかかったみたいな

不思議な夜だったよ。



さあ、思い出の夏の夜から
クプカ家の庭にもどろう


庭へのトビラは
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