英国の水彩画に出会い
〜途中ちょっとアクシデントも...〜
山陰の小京都
萩・津和野ぶらり散歩

 

 

 

☆ひさしぶりに水彩画ロード隊出動しました

今回キャンピングカー(JB号)で向かった先は、山陰。

出雲や松江には昨年行ったばかりですが、もう少し足を伸ばして日本海側を、もっと西へ・・・まずは旅の目的である美術展『巨匠たちの英国水彩画展』を観るため島根県立石見(いわみ)美術館を目指します。

英国水彩画の名品が日本に多数やってくるという機会はそう多くありません。それが、2012年10月に東京渋谷の文化村ミュージアムに来ると知り、『中国地方にも来ないのかな?』と調べたところ・・・ナント!9月末まで島根県の美術館で開催しているではありませんか!

これはもう、行くしかない!ただ・・・おなじ.中国地方とはいえ想像以上に遠かった(岡山から片道約300キロ)日帰りという距離ではないので、旅行がてら一泊か二泊の予定で出発しました。

さあ、JB号に乗り込んで出発

 

9月12日(水) 岡山→広島→島根県益田市へ

お天気もよく、快適に高速道路(山陽道)を走行。広島JCTから日本海側へ北上。浜田という所で高速を降りて、一般道を50分ほどひた走ると美術館がある島根県益田市です。美術館に着く前からこの辺り、赤茶色の光沢ある瓦屋根が多いね〜とふたり話していましたが、その特徴ある瓦を外壁にまでびっしりと使ったユニークな建物島根県芸術文化センター『グラントワ』に、お目当ての美術館も入っていました。赤茶色の瓦は島根県が誇る石州瓦。なんと外壁や屋根に約28万枚使用されているとか!(BCS賞・公共建築賞も受賞している建造物)

到着した時はもう午後三時をまわっていましたが、閉館時間は、午後6時半だったのでゆっくり鑑賞することが出来ました。

 

 

『巨匠たちの英国水彩画展』を観て.... by akemi

いわゆる水彩画らしい滲みとかの手法は少ない 細密画に近い古典的な作品がメインでしたが、さすがに 水彩画の歴史あるイギリスの名品たち。美しいゆったりとした美術館で、心ゆくまでじっくり絵の一枚一枚と向かい合える至福の時間を堪能しました。

日常の中で芸術に触れる時間を持つことは、渇いたのどを透明な水が潤すように、こころを潤してくれる“幸せなひととき”。やっぱり大事ですね、こんな時間の過ごし方。展示された点数も多く(約160点)見応えがありました。

イギリスの水彩画150年の歴史を時の流れに沿って観ていくと、絵の向こう側にイギリスが歩んだ歴史も見えてきます。 基本、風景画が多かったですが、展覧会の英語のタイトルは『The Real and the Imagined』(実在するものと心に描くもの)というだけあって、神話や詩の世界を絵に描いたものもかなりあり、個人的にはそれらの中に好きなものが多かった気がします。

 

ゆったりとした気分で美術鑑賞を終え、 カフェで美味しいケーキ(黒ゴマ豆乳ケーキ) とコーヒーもいただいて満足♪

後は、今夜の宿泊地、事前に調べておいたRV車用のキャンピングパーク(温泉も併設)を目指すだけです。

 

アクシデント発生!

ちょうど夕景の美しい時間帯。あと30分ほどでめざすキャンピングパークに到着・・・という所で、海に沈む夕日を撮ろうと海岸沿いの展望駐車場に車を停めました。写真も撮り終え・・・さあ、出発!とキーを回したら・・・

あれ?エンジンが、かからない!

実は、旅に出る前にもそういう現象が起こったので、バッテリーが古いせいだろうと バッテリーは新品に交換したばかり。ネットで購入し夫が自分で交換したのですが、新しいのに替えるとちゃんととエンジンがかかり復活したので、もう大丈夫!とすっかり安心していました。それなのに・・・

バッテリーぎれ!?

この時点ではライトはまだ点灯していましたが、とにかくエンジンがかからないので、車の保険会社に連絡。20分ほど待っていると車屋さんが来てくれて、エンジン自体はスグにかかりました・・・・ところが、計測器で測ってくれたところ数値があまりに低いとのこと。

バッテリー以外に問題がある可能性が高い

という話になりました。とりあえずはこのままエンジンを切らないで、宿泊予定地まで移動(RV用の充電設備も、温泉施設も整っている場所なので)今夜はそこにエンジンを切らずに、アイドリングしながら泊まって、明日の朝になったらどこにも立ち寄らず、岡山へすぐ帰ろう....という話になりました。

 

宿泊予定地 田万川温泉『憩いの湯』に併設したRV専用パークに何とか温泉の営業時間内に到着。

海も山もある風光明媚なところで、温泉につかって長旅の疲れも、思わぬアクシデントの気づかれも癒せました。幸い、この日は平日でRV専用パークの利用者は我々だけ。車のアクシデントをパークの方に説明すると、とても親切に対応してくださって、アイドリングの許可も得られたので、エンジンはかけたまま休むことにしました。

 

田万川温泉『憩いの湯』に併設したRV専用パーク

充電設備も整っていたので住居部分の電気は安心。
温泉施設や道の駅も近く、 夜の星空がとてもキレイ...

9月13日(木) は、夫の誕生日.....

深夜に突然、エンジンがとまる

アイドリングしてたのに、エンジン音がぷつんと切れて・・・・あらら・・って感じ。翌朝を待って保険会社に再度連絡。田万川温泉は、もう島根ではなく山口県だったので、今度は山口県の車屋さんが来てくれました。で、くわしく調べてもらったところ

オルタネーター(発電機)の故障と判明

エンジンはかけてもらいましたが、アイドリングしていても突然エンジンがとまったのですから、走行中に止まらないとも言い切れません。高速道路で何かあったら大事故につながるし、ここでお願いして交換してから帰ることにしました。

ただ部品が入るのに二日ほどかかるとのこと。届くまでの間は代車を出してもらえることになったので、それまではこの場所にキャンピングカーをとめ寝泊りし、昼間の観光や移動は代車を使わせてもらうことにしました。

 美しい町並みを巡る

9月13日、とんだお誕生日を迎えてしまった(夫)でしたが、これも何かのご縁でしょう。塞翁が馬ということわざもあります。旅の予定を変更して、田万川温泉のRV専用パークを基点に(車の部品が届くまで)近場の観光地をエンジョイすることにしました。ちょうど近くには山陰の小京都 萩と津和野があります。

まずは、山口県の萩へ

萩はそれぞれに、訪れたことのある町でしたが、学生時代のことで遠い昔。

けっこう散策エリアが広い萩。どこのバス停でも乗り降り自由に出来て一回100円という赤いバスがぐるぐる町の中を走っていて便利でした。このシステム、もっと他の地方都市でも広まって欲しい・・・

白壁がつづく美しい萩の町並み。.ただ、暑かった!

 

萩で、那須に遭遇!

 

萩の城下町周辺を散策していると、中が公開されている武家屋敷に何軒も出会います。たまたまその中の一軒のお屋敷の門を、くぐってみることにしました。何でも、萩で有名な蘭学者だった人の屋敷とのこと。ところが、陳列されている写真の中に見覚えのある建物の写真があるではありませんか!

 

昨年まで暮らしていた懐かしい那須高原。その那須にある

道の駅『明治の森』の傍らにあった、青木邸の写真です☆

あの那須の青木邸を建てた青木周蔵の実家(養子だったようです)が、萩のこの家だったのですね〜!外交官から外務大臣にもなり、ドイツ女性と結婚した人で、萩の家は手放し、那須に広大な敷地を購入してあの洋館も建てた方のようです。

萩でふいに、那須に声をかけられたようで...うれしかった。

 

9月14日(金) ホルンフェルス→ 津和野へ

 

田万川温泉に近い海岸線にホルンフェルスという景勝地がありました。

バウムクーヘンみたいに、いろんな色の地層が織り重なっていて、青い海に切り立っています。そんなに期待せずに出かけたのですが、見事な景観とかなりの規模にびっくり☆

ステージのような岩場がかなり広くて、サスペンスドラマの犯人を追い詰めるシーンにぴったりかも・・・近くには海から船で入れる洞窟などもあり、大人5名以上の予約で運行とのことで乗船しませんでしたが、須佐湾遊覧船というのに乗れば、海上からまた別の表情を楽しめたことでしょう。

お昼には、地元の新鮮な海の幸を頂き、しあわせ♪

ここで獲れる『みことイカ』というブランドイカは有名らしい

 

午後は、山陰の小京都 津和野

萩に比べると規模は小さいですが、ここには大学時代(私akemiが)訪れ、とても心に残っている小さな教会があり行ってみたかったのです。ただ、そこがどこだったのか?名前も場所も覚えていなくて、マップを見て、たぶんココかな?という所に行ってみました。町外れの山の中にひっそりとある小さな教会。かなりの急な山道を登らないと辿り着けません。前に来た時は18歳くらいだったので体力があったのでしょう。こんな山道を歩いた記憶さえありませんが、間違いなくこの教会でした!

乙女峠にある マリア堂

年配のシスターがこの木造の小さく素朴な教会の中で私たちふたりに、この地の悲しい歴史を話して下さいました。

キリスト教が禁止されていた時代(慶応元年ころ)長崎浦上の隠れキリシタンたち約4000人は各地の大名の元に送られ改宗を迫られました。そのうちの153名が津和野藩に預けられ、当時この場所にあった廃寺に入れられ説得されますが、改宗しない者は拷問をうけ結果、ここで亡くなった(殉教者)は40名近く、その中には子供もいたそうです。ちなみに殉教って、処刑されて亡くなったと勘違いしていましたが、シスターは「処刑されて死ぬ方がどんなに楽でしょう、拷問で体力を失い衰弱して長い時間をかけて亡くなった人たちを殉教者と呼ぶのですよ」と教えてくださいました。

 

殉教者たちの遺骨は、この近くの山の上のお墓に安置されています。彼らの魂を鎮魂するために建てられたのが、木造のこの教会。不思議にいまも神聖な空気が漂っているのを感じる場所です。

 

津和野の町に降りると、もうひとつ教会がありました。こちらは地元の人が通う教会。中は畳敷きなのがユニーク。乙女峠のマリア堂を建てた人は、この教会のネーベル神父(いまは亡き)だそうです。

津和野の町にとけこむように建つ 和洋折衷の美しい教会

 

 

 

予定より一日早く部品が入り、我々が津和野を巡っている間に キャンピングカーの修理も終わって、夜には帰路につくことが出来ました。車の思わぬアクシデントがあったから、言葉を交わしお世話になった山口の方たち。みなさん本当に親切で、まじめな気質を感じました。

そう言えば不思議だったのは

の町を歩いている時、この町 『あそこに似ている!』 と思い出したのは

那須にいた頃に訪ねた福島県の 会津 だったこと。

ご存知のように、長州と会津は、幕末に激しい戦いをくりひろげた仇敵どうし。そのふたつの町がどこか似た雰囲気を漂わせているのが何とも不思議でした。きっと、どちらもそれぞれに気骨のある土地柄だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

旅のおまけ

この子は車の故障のためしばらく滞在することになった、キャンピングパークの洗面所に住んでいる(?)カエルくん

   

二泊でしたが、行くたび必ず顔をだしてくれました。水滴をかけてやると、うれしそう・・・いまも住んでるかな?長州のカエルくん

 

 

(2012.秋.)

 

kupuka


<--Back to HOME

森便りメニュー頁へ

水彩画インフォメーションへ

水彩画ロードへ