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GRAPHIC REPORT
STATION
Photo by Toru Iijima Poem by Akemi Murata
雑誌「STOCK YARD」Vol.2 のグラビアページ用に
依頼されて書いた「駅に寄せる3つの詩」です。
写真家・飯島徹さんの写真世界と共にお楽しみください。
(三枚の写真はクリックすると、大きな画面でご覧になれます)
< Poem 1 >
RAILROAD BLUES
葉脈のように
張り巡らされた鉄路のうえを
とりどりの夢
さまざまなモノ
無数の想いがかけめぐる
にぶく銀色に光りながら
しんしんと北国の雪にこごえ
じりじりと南国の熱にやかれて
線路は遠く遥かに伸びている
海沿いの無人駅にひびく潮騒
山間の小さな駅にひらひら舞う花びら
都会の駅に降り積もる吐息さえも縫いとって
線路は遠く遥かにつながっている
< Poem 2 >
STATION MAGIC
降り立つ人、旅立つ人
見送る人、見送られる人
通り過ぎる人、たたずむ人
Station Magic
駅という舞台装置のうえでは
どんなポーズも絵になる魔法
階段をイッキにかけのぼる学生
傘をパターに素振りするサラリーマン
ひだまりのベンチに腰かける老人
改札口の柱の影で別れを惜しむカップル
遠足に向かう黄色い帽子たち
それぞれの駅にそれぞれの顔があり
それぞれの駅にそれぞれの風がふく
鉄路が「線」なら駅は「点」
星屑のようにまたたく駅のうえで
今日もまた新しい物語が生まれる
< Poem 3>
BEAT OF STATION
都会の雑踏には
あらゆるものが溶け込んでいる
にじんで揺らめく時代の喧噪
絶望、希望、せつなさ、憧れ
混沌、孤独、ときめき、夢
雑踏からあらゆるものが流れだす
ホームにひびく発車メロディー
構内アナウンス、ざわめき、無数の足音
巨大ターミナル駅に反響する音は
都市の底に響きつづける通奏低音
雑多な音は混じり合い
ビートとなって脈打ちながら
駅の鼓動に重なっていく
Comment
「人と建築と空間を結ぶカルチャーBOOK」というコンセプトの
雑誌のグラビアページのため依頼され、書いた詩なので
ふだんの創作のようには自由に書けなかったのですが
それはそれなりに、ゆるされる範囲のなかで
駅や鉄路に想いを馳せて書きました。
フォトポエム「いのちのフォルム」シリーズで、すでに
お馴染みの写真家、飯島徹さんとのジョイントとなる
仕事でしたが、今回はお互いに作品を突き合わせて
撮ったり、書いたりする時間がなかったため
「線路」「駅」「雑踏」の三つのテーマで
それぞれに創り込み、いちかばちか
ぶつけてみるという刺激的な
制作となりました。
←うえの作品が掲載されている
雑誌「ストックヤード」は、全国の書店にて
現在、発売中です。(2000年4月15日サンワコーポレーション発行)中の特集ページ「駅であそぼ」の全文(10〜37ページ)分と
38ページの「駅のスケッチ・森惣介物語」の文章も担当して書きました。
大きな書店でないと手に入らないかもしれませんが
駅が好きな方や、鉄道に興味がある方なら面白いかも...
Akemi