白磁の壷

Poem & Photo by Akemi Murata


梅のつぼみが

白磁の壷のように

まろく煌めいている


ぷくりとした膨らみを

そっと摘まんだら

せつない弾力が

指にしみた


心もとない花の肌を閉じ合わせ

つぼみが抱いているものは

なんだろう


どんなに激しいエナジーが

花を咲かせるのか


知っていることと感じることは

いつも半音ずれている


“自然の法則で花は咲く”

あたりまえの常識が

ぽっかり真空になった午後


碧い空のま下に

幻想がこぼれ落ちた


ごらん

土に眠る死者たちの夢が

木の根をつたい幹を這いのぼり

ひたひたつぼみに満ちていく


ほとばしる瞬間

白磁の壷は封印を解かれ

かぐわしい香りを放つだろう


ほら


また一輪



咲いた

 



詩と写真・村田あけみ





Comment


春になると会いに行く枝垂れ(しだれ)梅があります。

名物でも何でもないひっそりとした梅の木ですが

見ていると心がしんとしてくるのです


-村田あけみ-


こちらにも
↓梅の花の詩
フォトポエム「ほろほろ春こぼれ」

 



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