冬のつめ

Photo & Poem by Akemi Murata

ぱち、ぱちっ

かわいた音 ひびかせて

冬の窓辺で 爪を切る


生きていれば 爪も伸びる

生きた証の数ミリを 切り整えながら

生きている


窓のそとは しろい世界

すき通った 爪のように

つららが 朝の陽に光る

ずっしり積もった雪の想いが ほどけては凍り

またほどけ したたりながら 伸びてきた

朝のひかり 空の青 夕やけの色

月あかり 出会ったすべてを

映し込み 冬のこころを

青白く 透かして灯る

冬の爪(つめ)

イタイほど とんがって

透けるほど さしのべた

爪の先には 大地がある

ちろちろ

憧れの詩(うた)口ずさみ

春を育む大地のもとへ

まっすぐ投じる

その日まで

冬の爪は

りんと

光る





Comment


人間って生きてる間に
どれくらい爪を切るんだろ...

そんな、たわいもないことを
考えながら爪を切っていたら
のき先の氷柱
(つらら)まで、
すき通った爪に見えました。


Akemi


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