木かげのように

Poem & Photo(CG) by Akemi Murata


いのちの繁み ひかりの匂い

夏の陽射しを その身にあび

いっぽんの木は いっぽん分

木かげをつくって立っている


すきとおった 青空のま下

木のしたに 憩う者を

拒むこともなく



風がふけば 木漏れ日揺らし

いっぽんの木は いっぽん分

それ以上でも 以下でもなく

満ち足りてただ そこに在る



わたしは わたしの影と歩く

昨日でも明日でもない 今日

一分一秒まえでもない いま

ひかりに照らし出される影は

いのちのシルエット



つま先立って 背伸びしたら

影もぐらぐら ふらついた

わたしは わたしを

生きればいい



いのちの繁み ひかりの匂い

夏の陽射しを その身にあび

いっぽんの木は いっぽん分

木かげをつくって立っている



それ以上でも 以下でもなく

満ち足りてただ そこに在る




詩と写真・村田あけみ




Comment


久しぶりに出かけた東京、人ごみに疲れ、立ち寄った公園で

木かげを見つけました。夏の午後、木のしたでひと休みしていたら

美しいシルエットを編んで、木漏れ日が地面に模様を描いています。

人間も、木かげのようにやさしい影をつくれたらいいのに....。

自分の影って、なんだか不思議ですよね、

光の下を歩けばいつも足下にくっついて生涯、一緒にいるのです。

死んだら影も一緒に消える。生きている証の刻印みたいに。

2007.7月

-村田あけみ-




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