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《 コポルの笛 》

Story and picture by Akemi Murata


村の大きな かしの木に
かみなりが落ちて
木がまっぷたつにわれた時

ひとりのおじいさんが
その木のかけらで
一本の たて笛を作りました。



やがて 重い病気にかかった おじいさんは、
まくらもとに 孫のコポルをよんで こう言いました。

「この笛は、何百年も
 村を見守って下さった かしの木で作ったんだよ。
 笛のなかには今も かしの木の精霊(せいれい)が住んでいらっしゃる。
 お前にこれをあげよう。心をこめて吹いておくれ・・・」

おじいさんは、幼いコポルに笛を手わたすと、眠るように目をとじて
二度とふたたびその眠りからさめることはありませんでした。

「おじいさんは、どこに行ったの?」

まだ幼いコポルがたずねると、

「お空のお星さまになられたのよ。」

お母さんは、なみだをうかべながら こたえました。


どれくらい 季節が すぎていったでしょう。  

あれからコポルは、どこに行くのも なにをするのも笛といっしょです。


それなら、さぞかし笛を吹くのもうまくなっただろうって思うでしょ?



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