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気がつくと、コポルのうえに朝の光りが満ちていました。
手には笛がにぎられています。
「夢だったのか・・・」
コポルはいつのまにか岩山で眠っていたようです。
耳のおくの方で、まださっきの美しい笛の音(ね)が
聞こえているような気がします。コポルは、そっと吹いてみました。
すると・・・吹けるではありませんか!
妖精の歌声のような清らかな音楽が笛からあふれ出て
朝の光りにとけていきます。
それからというもの、コポルが笛を吹くと
だれもにげだしたりしませんでした。
それどころか、はるばる旅をして
たくさんの人や動物たちが
コポルの笛を聞くために訪れたのです。
ある人は、コポルの笛の音に風に揺れるこもれびを感じ、
ある人は、潮騒(しおさい)を聞きました。
またべつの人は、またたく星空を見たそうです。
【END】