雲に捧げる歌抄 -短歌九首-

Tanka & Photo by Akemi Murata



 青い空の食卓に雲ひとつ 風がおいた天上の果実

 

*


  ひとひらの雲に照らされ いのちが透ける遠くまで静かな真昼

 

*


       

  天使のえくぼ みたいな雲でした 後悔も懺悔も聞いてくれそうな

 

*


 

 たなびく雲の川ごしに打電する 彼岸のひとへ 言い残したこと

 

*

 

 こびりついた悲しみのうえを流れ この星を洗う 雲はシャボン

 

*


 

泣きたいときは下を見ない 涙に雲を映す湖になる

 

*

 

 

空を見ていてふと思う 心底見られているのは どっちだろう


*

 

雲のてっぺんから小さな小さな 自分が見えた「おーい、がんばれ」


 

*


 風の郵便 雲の便箋 一生かけて ひもとく手紙

 




Comment

東京から那須高原に引っ越して空が
ぐんと、ちかくなりました。

それにしても、どうしてこんなに
空に惹かれるのでしょう。

山や花を撮るつもりで
カメラのファインダーをのぞいていても
ついつい、空に向けてシャッターを
切っている自分がいます。

なんど、空に抱きしめられ
なんど、空に救われたか分かりません。

幼なじみの空と雲に、愛と感謝をこめ
31文字のラブレター
贈ります。


Akemi



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