過ごした日々を
written by akemi murata

 

はじめて出会った日のキミは

森の底ふかく眠りつづける深海魚のようでした

かつて家だったことさえ忘れたかのように

鬱蒼とした木々に侵食されながら

それでも朽ちずに待ちつづけ

わたしたちの家になってくれて、ありがとう!

この八年間

キミを再生させることに夢中になりながら

再生したのは、私たちの方だったと

ようやく気づきました

那須連山のふところに抱かれ

標高750メートルの地でキミと過ごした日々

うつくしい季節のきらめきを、ありがとう!

 

忘れないからね

 

テラスに訪れてくれた 愛らしい森の仲間たちのことや

   

 

作品という名の子どもたちを たくさんの人に見てもらえたこと

すてきな出会いがいっぱい 人生を照らしてくれたこと

交わした言葉も 笑顔も 流れていた音楽も

そうそう、あたらしい家族(ビヤ)が森から迷い込んできたのも

キミがくれた 素敵なプレゼントかもしれないね

野の花の愛らしさ 那須に吹く風のおと

たくさん見せてもらった 夢のすべてを

ありがとう

 

 


 

Comment

 

那須の家を手放すことに決めたのは2011年11月のことでした。

それから一ヶ月も経たないうちに、縁あって

購入希望の方が現れ、12月27日に引渡しを終えました。

 

那須の家は、もう私たちの家ではなくなりました。

それは、やっぱり淋しいことです。でも、買われた方は

私たちの家に込めた思いや生き方(作品もふくめ)

深く理解し愛してくれている方なので、安心です。

 

これで、草ぼうぼうの廃墟にならずにすみました。

笑顔で誰かの夢を紡げる家で居られるでしょう。

私たちも岡山で老いた両親のそばに寄り添い

心おきなく明日を見て、暮らせます。

 

これまでに那須の家を訪ねてくれたみなさん、ネットでご覧になり

いつか訪ねたいと遠くから思って下さっていた方も

あの家にかわって、言わせてください。

『愛してくれてありがとう!』

 

〜 2012年 1月 おさむ&あけみ&ビヤ 〜



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