短歌抄 どこかで
written by akemi murata

Photo by Nonp

 

懐かしさ 空の彼方で またたく日

ざわざわ騒ぐ 透明な羽根

 

*

 

この星の どこかでイルカ 跳ねる時

わたしも跳ぼう 心の地平 

*

 

ため息で 句読点を 打つよりも

感嘆符にかえ いのちを沸かす

 

*

 

 

音がする どこかで蕾 また弾け

ほとばしり咲く 花たちの夢

 

*

 

色褪せた 家族写真の その場所に

     行けば父母 会える気がして
ちちはは

 

*

 

前髪の 長さ気にして 思春期は

迷子のように 鏡をのぞく

 

*

 

さびしいと 嘆いてみたり 笑ったり

心の風車は からから回る

 

*

 

 

短歌 村田あけみ / 写真 Nonp

 

 


 

Comment

 

『どこかで』って、漠然とした表現ですが、その曖昧さに救われる

つぶやくと楽になる魔法のような言葉って必要かもしれません

どこか... だれか... なにか... いつか...

おまじないのように 唱えているでしょう

どこかで今日も、だれかが

 

〜 すてきな写真でイマジネーションを与えてくれた Nonpさん ありがとう 〜

 

Akemi



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