「お月見 2001」

Poem by Takakatsu.T.



果てし無く広がる曠野

実に大きな月が静かに昇って行く


今日は仲秋節だよと

中国の友は

大きな月餅を贈ってくれた


奈落の底に落ちる夢

みんな一度は見ただろう


地球へと

奈落に落ちるそのままに

月は止まらず

落ちている


戦争もアウシュビッツも原爆も………

差別もガンもハンセン病も………

月は子細に見届けた

どんなに嫌であろうとも

月はしっかり覚えている


じゃあ 

なぜ地球にぶつからない?


落ちる道とは直角に

一生懸命走るから


地球に顔を向けながら

月は軌道を疾走する

平均速度は時速3700キロメートル

だから地球にぶつからない


自虐かと

落ちるを

止めた瞬間に

遥かかなたへ

飛び去って

宇宙の塵になり果てる


掛け替えのない

己の軌道を生き抜こう

たとい

苦難に

出遭っても

なお

ハレルヤと

歌いつつ


月光は

熱情秘めて

降り注ぎ

ピアノの調べ

月明に冴ゆ



     


comment

世紀は変わり
思いはいろいろと変わっても
やっぱりお月見はしたいですね



Poem & comment by Takakatsu.T.

tallforest@vanilla.ocn.ne.jp


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