器のなかに
Poem & picture by Akemi Murata


鏡をのぞいたらいつもいる

この見なれたカタチが

わたしの器



この世に生まれたとき

たったひとつ

与えられた


カラダという名の

ちいさな器



その中におさまって

とくん とくんと

揺れながら



何を想い

何に迷い

何を愛し

何に傷つくのか





やがて

鏡のなかに

映らなくなる日まで



ひらひら心に降りてくる

あわ雪のように

もろく淋しく

美しい

断片や



微熱のように

気配のように

密やかで

かけがえのない

落としものを

集めよう



とくん とくんと

波うちながら



心の水面に

空の青さを映して




詩・村田あけみ



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