『青い瞳がほほえむ国』

1996.12月8日/記
 
 二人でフィンランドを旅行しました。フィンランドは、わたしたちが敬愛するトーベ・ヤンソン(ムーミンの生みの親)のふるさとです。もちろん、森と湖、オーロラと白夜、妖精やサンタクロース伝説でも知られる北欧の国・・9月の末から10月の頭にかけての10日間ほどでしたが、ヘルシンキからレンタカー(ボルボ)を借りて、ドライブしました。
 ヘルシンキを出発した頃は、まだ夏のなごりが白樺の葉にきらきら輝いていたのに、10日間のあいだには、燃えるような紅葉も体験。旅の終わり頃には、なんと初雪まで降りました。美しく清らかな国と、うつりゆく季節を旅した10日間の思い出はいまも忘れられません。
 フィンランドでは、フィン語と呼ばれる独特の言語がつかわれています。英語でもドイツ語でもフランス語でもない・・耳慣れない言葉がラジオから流れるのを聞きながら、ドライブするのってなんだか不思議ですよ・・まさに見知らぬ国に来た!という新鮮な感動があります。
なにより忘れられないのは、空の美しさです。“空が青い”って、こういうことだったんだ・・って目を洗われるような気がして、わたしは毎日、車の窓から空をあおいでいました。高い建物も少ないから、空がとにかく広いんです。わたしはフィンランドの空に、北欧の“青い瞳”という名前をつけました。青い瞳は、なんど見ても見あきることがありませんでした。

 スオミ(湖の国)という別名を持つフィンランド・・湖のすきまに国があるって印象をもつくらい、約20万個の青くきらめく湖が点在しています。ドライブの途中、気にいった湖を見つけてはよく車をとめました。森に入るとふかふかの苔・・足が15センチくらい埋もれるほど柔らかなんですよ。そんな森に立っていると、トロールや妖精たちが現れるのは当然という気がしてきます(イエ、いないわけがありません)。
 シャイで恥ずかしがりやの、やさしい人々・・教会で聞いた賛美歌・・クリスマスが近づくと、なんとなくフィンランドを思い出します。

Akemi


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