がらんどうの宙に
〜がらんどうのそらに〜
Poem & Photo by Akemi Murata


がらんどうの宙に手をのばし

あどけなく笑いかける赤ん坊


なにか見えるの?


すっかり退化した

大人たちは首をかしげ

不思議そうに問いかける


開かれていた部屋に自ら鍵を下ろし

その手で狭めた道を彷徨っては

右往左往

行き止まりの袋小路で

途方に暮れる

人間よ


センサーを鈍らせることが

賢くなることだと

錯覚したまま

いったい

いつまで

知ったかぶりを

つづけるつもり?


がらんどうの宙に手をのばし

視力とはちがう別の目で

見てごらん


がらんどうの宙は

からっぽじゃない






詩・村田あけみ


Comment


進化したと信じていることが退化だとしたら?

退化だと思っていることが、進化かもしれない

2009 Akemi


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