銀色の針

Poem & picture by Akemi Murata




誰の心の引き出しにも

一本くらいはあるものです

銀色の小さな「針」が




ささればチクリと痛い「針」

傷口からは赤い血が

ぽたりと流れ落ちるでしょう


けれど 穴に 糸を通せば


引き裂かれた心の傷口を

つくろう針に変えられる




誰かの心に ぽっかり開いた 空洞も

やわらかな夢のあて布をして

魔法の糸で縫ったなら

甦るかもしれません


そんな銀色の小さな「針」が


誰の心の引き出しにも

一本くらいはあるものです








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