Ubud / Part1
 

【ウブド】憧れのHotel
“クプクプバロン”の散歩道で・・

2日目(夜)

 ジャワ島からバリ島に戻り、迎えの車に乗り込んだ時は夜の11時近くでした。いよいよ山間の村ウブドにあるホテル“クプクプバロン”に向かいます。ウブドが近づくにつれ、町明かりはしだいにへり、舗装されていない暗い夜道にワゴン車はがたがたとゆれます。思えば、夏に病院のベッドではじめて“クプクプバロン”という名を耳にしてから約半年。真っ暗なベッドの中で聞いたラジオ番組“ジェットストリーム”からこぼれてきた『バリ島の休日』は、健康な時に感じる数十倍の魅力をたたえて、心にしみたものです・・。

 『KUPUKUPU BARONG』という立て札がようやく見えてきました。でも、どこにもホテルの姿など見えません。立て札のところを曲がり、車はやっと通れる位の小道をくねくねとたどります・・ようやく到着した正面玄関。やわらかな照明に浮かびあがるロビーはじつにシンプル(一日目の『バリヒルトン』の豪華さとは対照的)です。

 でも、なんて趣味がいいのでしょう!どこにも無駄がありません。石仏たちが、ロビーの片隅にそっとたたずみ、それぞれに白い花が供えてありました。車を降りた瞬間から、わたしたちを包んだ甘い香りは植物の匂いでしょうか?ここは部屋数20戸ほどの小さなホテルで、そのすべてがバンガロースタイルです。おだやかで、もの静かな微笑みを浮かべるポーターに案内されて、わたしたちのバンガローにつづく小道を行くと、茅葺き屋根の素朴な建物が待っていました。

 入ると、1階部分にベランダがついたステキなリビングと、とにかく広い岩づくりのバスルーム(シャワーとバスタブは別)があります。室内は、アンティークな民家調とヨーロピアンテーストが調和したインテリア。2階に上がると、天井が高いメインベッドルーム(天井の太い梁には大きなファンがゆっくりまわっています)これだけでも、広くてびっくりしたのに、なんと3階にもベッドルームがついていました。バリ島の片田舎の小さなホテルなのに、世界中にファンがいて、リピーターも多いという話・・『なるほど』とうなずけます。

3日目(午前)

 深夜に到着して、その不思議な雰囲気にすっかり魅了されたものの、クプクプバロンの本当の魅力にめぐり逢ったのは翌朝でした。寝ぼけまなこでカーテンをあけて、思わず息をのみました・・一面の椰子の木のジャングルと川の流れ!・・子供の頃にわくわくしながら読んだ冒険小説に出てきたような風景です。

 

 美しい渓谷を眺めながら朝食

 渓谷を見おろす眺めのよいテラスで朝食を楽しんだあと、いよいよ芸術の村ウブドをジャランジャラン(インドネシア語で散歩)に出発です!今日は終日フリー行動。車をチャーターすることにしました。日本だったら、たいへんな金額になってしまうところですが、交渉の結果、日本円にして4千円で丸一日乗り放題にしてくれる運転手さんに出会えました。

 まずは、ガイドブックを参考に、ウブドのメインストリート(ジャラン・ラヤ・ウブド)へ。ちょうど今朝は朝市をやっているというのでマーケットプレースへ直行です。いろんな食べ物や、民芸品を並べた露天がひしめいています。

 さあ、インドネシアスタイルの買い物の醍醐味を味わいましょう!まずこの国で、言い値で買う人はいません。運転手さんの話しによると、提示された額の三分の一からはじめるといいとか・・たいていの場合半額にはなります。フリーマーケットのノリですね。売る方も買う方もそれを楽しんでる感じ(慣れるまで、ちょっと疲れるけど)わたしは、ここで木彫り(ハーフムーンがデザインされてる)のミニ台(植木鉢とかのせる組立式)や渋いカゴ細工をいくつか買いました。同じものが、空港とかの店よりずっと安い!お土産は、ここでかなりそろいました。

ネカ美術館でバリのアートに出会う


 昼食まで時間があるので、ネカ美術館へ。『芸術家たちは運がいい。なぜなら彼らは2度生きることが出来るのだから。1度目は実在している時に、2度目は作品を通じて次の時代に』という言葉を残したステジャ・ネカが収集したコレクション(バリに霊感を与えられた絵画)の美術館です。インドネシアの画家の部屋もあれば、欧米からバリに魅せられて住みついた画家たちの絵も並んでいます。細密画が中心でしたが、わたしたちは、オランダ出身のアリー・スミットという画家の、おおらかな画風が気に入りました。

 美術館の後は、メインストリートにもどって昼食。ガイドブックにのっているレストランのひとつを指さすと、運転手さんなぜかニッコリ。彼の奥さんが、その店でウエイトレスとして働いているそうです。その店には、バリ全島の料理コンテストでNo.1に輝いた皿料理があるというので注文してみました。皿の上のライスに、フィッシュソース系のソースと具をからめて食べる料理。う〜ん....まあまあかな? 

 「午後はどこに行こうか?」ウブドの観光はこれからが本番です。気温はかなり上がってきましたが、渓谷をわたる風はさわやか・・のんびりとしたバリの時間が、ゆるやかにわたしたちを包んでいました。


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