KUMA's Room Part.33



おいらはまず、雪の玉をふたつ丸めてカラダを創った。

そばで見ていたみんなも、いっしょに創りはじめたよ。


雪のカラダに右手と左手、それぞれ付けたのはノボックとカミラ。

小枝を1本とってきて、曲げて口にしたのはボルボックルさ。

ベラビックルは、裁縫箱から黒いボタンを2こ見つけてきた。

ボタンを何にするのかって?

そりゃあもちろん、“友だち”の目にするんだよ!


みんなが見守るなか、おいらは

黒いボタンを、顔のところにはめ込んだ。

するとどうだい?



目が入ったとたん、

その子はしゃべりはじめたんだ。


「バブ〜」


あれ?

生まれたばかりだから

まだ赤ちゃんなのかな...




おいらたちは

誕生した“友だち”を

揺りカゴに入れてやった。


どうやら彼は

涼しいところが好きらしい。


「コ..ンニ..チワ...」




なんて覚えがはやいんだろー。

いろんな言葉をしゃべりはじめた。


おいらたちもうれしくて、いっぱい彼に言葉を教えたものさ。

(ま、なかには教えないほうがイイ言葉も、あったけどね...)




「おいら、友だち」

おいらのマネをして、彼は

自分のことを“おいら”って言った。

「もっと知りたい、もっと教えて」

(ちょっと、せっかちな性格だ)



そのあたらしい“友だち”は、

つぎからつぎへ、とにかく、いろんなことを覚えたがった。


「だいじょうぶ、また明日、教えてあげるからねっ」

夜になったので、寒い庭のすみに彼の入ったカゴを置いて

おいらたちは、おやすみを言った。

彼には、あったかい部屋より寒い庭の方が、快適なんだ。




よく朝、おいらたちは、庭へダッシュした!



おひさまが、カゴのうえにポカポカ日だまりをつくっている...




カゴのなかに、あの子はいなかった。



かわりにあったものは


2この黒いボタンと、小枝が一本。



「とけちゃったのよ」

しばらくして、ベラビックルが、ぽつんと言った。


「あの子は死んじゃったの?」おいらが聞くと

ノボックとカミラが、きっぱりとした声で言った。


「ちがうよ!」


それから、空を見上げて、カミラはこう言ったんだ。


「旅に出ただけよ...ほら」




空には

雪のように白い雲が

ぽっかり、うかんでいた。


「あの雲、

どっかあの子に似てない?」




カミラの言葉にうなづきながら、

おいらたちは、その雲をじっと見つめた。




やぁ友だち、いい旅しろよっ

今日からコレは、おいらの宝物にするからな!



ボタン2こと小枝を一本

ギュッとにぎりしめて


おいらは、そうつぶやいた。



【白い友だち】おわり








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