水をたたえた堀の向こうにアンコールワットがたたずむ
二日目午後 in Siem Reap
「天上界の夕陽」
遺跡へのアプローチ、石造りの橋(参道)を進むと
西塔門が表情をかえながら迫ってくる。
門をくぐると視界がぱっと開け広い中庭の向こうに
有名な三つの塔の連なりが見えた。その塔に向かって一本の石畳の道が通じている。
この道は地上界と天上界をつないでいるのだと言う。
道の左右には経蔵と聖池が配置されていた。
アンコールワットの塔をバックに
夫(おさむ)とシンハ(獅子)
聖池のほとりに腰かけて...
ここからだと5つの塔が見える。
ソーケイさんの説明を聞きながらアンコールワットの回廊をめぐる。びっしりと施された壁面彫刻は想像以上にスゴイ。西洋的遠近法ではない遠近法が試されていたり、いわゆるアニメーションのような効果をねらっていたり、デザイン的にもすぐれていておどろかされる。
私には、いちばん見たいレリーフがあるのだが時間の都合で明日の朝、日の出を見に来たときに案内してもらうことにした。それほど、膨大な量の壁面彫刻と回廊の長さなのだ。英語、フランス語、ドイツ語、韓国語、中国語etc...回廊には、さまざまな言葉が飛び交っている。さすがは世界遺産に指定されている聖地だ。
そろそろ夕景の時刻が近づいてきた。アンコールワットの中で夕陽がいちばん美しく見えるというスポットをめざす。しかし、行ってみると絶壁のような階段。「遺跡巡りにはパンツルックがおすすめ」とガイドブックにあったはずだ。細いあやしげな手すりがついている。
でも、登ってよかった。
塔のてっぺんの西向きの窓からは、
さっき歩いてきた一本の道が正面に見える。
地上界と天上界をつないでいるという、あの道だ。
それなら、ここは天上界?
両親の写真をポシェットからとり出し
沈みゆく太陽の方角に向ける。
聖地アンコールワットの夕陽
ふたりにも見えて
いるだろうか。
その時ようやく
地下水がわきだすように
アンコールワットに来たという実感が
こみあげてきた。