とはいえ、深い海の底で一生を過ごすように生まれついた魚が
ちがう世界に行くなんて、たやすいことではありません。
およいでも、およいでも
青い揺らめきは遠いまま....うえに行くにしたがい
体はバラバラになるかと思うほど、痛みました。
それでも、魚はおよぐことをやめません。
いいえ、どうしてやめられるでしょう...
もうろうとした目でうえを見上げれば
そこにはいつもあの青い揺らめきが
やさしく微笑んでいるのです。
どれくらいの時が流れ、どれくらいの痛みに耐えたのか
魚じしん、もうわからなくなっていました。
そのときです。
無数の青いひかりのつぶが
魚のうえに降りそそぎはじめました。
青いひかりたちは
魚を包み込むと、ふわり
まいあがります。
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