バリ日記【時空をわたる風】

 1996年の師走(12月19日〜24日)、インドネシアに行ってきました。バリ島を中心に、ジャワ島にも足を伸ばして、かねてから行きたかった“ボロブドール遺跡”も訪ねました。短い期間でしたが、花の香りを含んだような熱帯のジャングルの空気は甘く、ゆったりと流れる時間は、どこかなつかしい記憶を呼びさましてくれるようでした。旅のエッセンスを、お届けしましょう。いっしょに“神々が住む島”へ、さあ、時空をわたる風にのりませんか?


第一日目

  成田からジャカルタ経由で、バリ島まで約9時間。デンバサールについたのは夜8時をまわっていました。その夜はヌサドゥアビーチにあるバリヒルトンへ。バリヒルトンのロビーは、東大寺の大仏殿を思わせるほど高い天井と太い柱が、重厚な雰囲気を漂わせています。遅い時間なのに、華やかな民族衣装を身にまとった美しい女性が出迎えてくれ、チェックインの合間も、ロビーでフレッシュマンゴジュースをふるまってくれました(ちょっと日本旅館的心づかいですね)。

第二日目

 翌朝は、さっそく隣の島(ジャワ島)へ飛びました。約1時間のフライトで、ジャワ島のジョグジャカルタに到着したのは、朝の8時過ぎ。空港に出迎えてくれた日本語の話せるガイドさんは、一見、おっかなそうでしたが、この日のツアー参加者は我々だけ。丸一日、一台のワゴン車を貸し切りで動けるようです。

 ボロブドールに行く前に、まずは王宮(ジョグジャカルタの)へ案内されました。かつては王様が住んでいた場所ですが、いまは各国からの来賓が来て祭典などに使う以外は、観光客のために開放しています。ガムラン音楽のための楽器がズラリと並んだ屋根つきの広場に来ると、お祈りをする老人がお経を唱えていました。一見おっかなかったガイドさんですが、話すうちに、博識のある(日本美術などにも詳しい)方だということがわかりました。「建物の屋根の形、庭に植える木、すべてにジャワの哲学があります」ひとつひとつの意味を静かに淡々と話してくれます。

 王宮の外には、物乞いや、物売りがあふれ、そのパワーにちょっと驚いたけれど…そういう人たちでさえ、表情にどこか余裕を感じるのはなぜでしょう?すさんでいないというか…気温が一年中暖かい国だからなのか、宗教があるからなのか。『ベチャ』と呼ばれる自転車のタクシー(二人乗りのワゴンが前にくっついてる)が行き交うジョグジャカルタの町は、活気にあふれじつに魅力的でした。

 さあ、車は一路、郊外への道をひた走ります。いよいよ、憧れのボロブドール遺跡へ…窓から見える山は、活火山で富士山によく似ていました。田園と椰子の木(日本に似ているけど違う)だけど、なんだか“なつかしい”表情を見せて、インドネシアの自然が広がっていました。


インドネシアの富士山(?)をクイックしてください。
ボロブドール遺跡へ
タイムトリップできますよ!


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