Vol.2




楽器になるなら





楽器になるなら

チェロが

いい



歌いすぎる

バイオリンは

いや


硝子のランプシェードに カゲロウが

いのちのフォルムを透かして よりそう


もし あかりになれるなら

そう


こんなほのかな 灯火に生まれよう


悲しみや痛みの輪郭さえもあらわにする

まぶしい光りはつら過ぎる


とろとろ あくびがでるような

旅を終えた小さな虫が 羽根をやすめ

うっとり夢みて死ねるような


そんな小さな あかりになって


どこかで まろやかに

そっと

灯ろう







前回のVol.1【落ちた空とコオロギ】につづいて

飯島徹(写真家)さんが撮られた美しいモノクロ写真に、詩をつけてみました。

今回、写真に登場している虫は、蜻蛉(カゲロウ)です。

「はかない命の象徴」のような名をつけられた虫ですが、

寿命の物理的な長さとその価値は、けっして比例しないような気がします。

わたしたちは、蜻蛉ほどもかけねなく生きて、すこしの迷いもなく

あたえられた命をまっとうできるでしょうか。



Akemi



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