春の花火

Poem & Photo by Akemi Murata

ちいさな太陽みたいに咲いたから

花びら散っても たんぽぽは

惑星のように朝露のように

まるく小さく煌めいて

やわらかな火花を

散らす

春の花火に

なるのでしょうか


いのちを照らし

いのちを透かし


咲いた火を芯に灯して

行き先も知らぬまま

しろく尾をひく

彗星のように

旅立つ時の

愛しさと

痛み



おさえきれない

あこがれの風に

舞いあがるとき


ひとひらの

わた毛には


宇宙のすべてが

またたいて

います







Comment

子どもの頃、シャボン玉を吹くように
ふ〜っと、タンポポの綿毛を
飛ばしたものです。

ことしの春、久しぶりに
いっぽん摘んで、吹いてみました。

雪のように、きらきら舞いながら
どこかに飛んでいった綿毛たち...


その一片がどうやら
心にも降ったようです。
ひとひらの詩が生まれました。

Akemi

2005.Spring


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