いちばん細い小指で


Poem & Photo by Akemi Murata


き 

どっちの字にも がいる


いちばん細い小指で ゆびきりするから

支えきれずに 約束はいつも

心もとないのか


うれしくて流す 涙も

かなしくて流す 涙も

しょっぱさは、おなじ



という 字の底に

ひそむ 


しい、れる

じる、

う、

みんな

同じ

のうえ




波が岸辺に とどくように

生きていると ふとしたことに気づく

そのくせ 大切なことは 見落としたまま

なにか 忘れ物でも したように

ふり返る 午後


ひとコマ 季節はうつろい

見上げた空に 夏は

もういない






Comment

子どもの頃、国語辞書や漢和辞典がけっこう好きでした。
漢字には、いろんな秘密が隠れているような気がします。

年を重ねてなお、はじめて気づくことがあるから面白い。
漢字のある国に生まれて良かったと、つくづく思います。

Akemi


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