P.5
見上げると、満天(まんてん)の星空が広がっています。
『あのなかに、おじいさんもいるのかな?』
そうコポルが思った時です。
どこかで、おじいさんのなつかしい声が
聞こえたような気がしました。『おじいさん、ぼく、もういちど会いたいよ』
コポルは胸いっぱいに広がる思いを込めて、笛を吹きました。
するとどうでしょう!
夢のように美しい音色(ねいろ)が
笛からこぼれだしたのです。
星の子どものお母さんを思う心も
コポルの笛の音に重なりました。
とつぜん、石がふわりと浮きあがりました。
石はどんどん高くのぼって、やがて見えなくなったかと思うと、
夜空のかたすみで小さな星が、ウインクするようにまたたきました。
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