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見上げると、満天(まんてん)の星空が広がっています。

『あのなかに、おじいさんもいるのかな?』

そうコポルが思った時です。



「心をこめて吹いておくれ・・・」


どこかで、おじいさんのなつかしい声が
聞こえたような気がしました。

『おじいさん、ぼく、もういちど会いたいよ』

コポルは胸いっぱいに広がる思いを込めて、笛を吹きました。

するとどうでしょう!


夢のように美しい音色(ねいろ)
笛からこぼれだしたのです。

星の子どものお母さんを思う心も
コポルの笛の音に重なりました。


とつぜん、石がふわりと浮きあがりました。


石はどんどん高くのぼって、やがて見えなくなったかと思うと、

夜空のかたすみで小さな星が、ウインクするようにまたたきました。



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