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「まるくったって
ほそくったって、お月さまはいつも、
ぼくたちを見守ってくれているんだよね、そうでしょ?」
わたしは、不覚にも、あふれそうになった涙をこらえながら、
男の子のあたまを、ゴシゴシとなでた。それから男の子の目を見つめ、こう言ったんだ。「そうだよ、月はいつだって、どんなカタチの時だって、みんなを見守ってる。
それに、ぼうや、知ってるかい?
お月さまは、夜にだけ、お空にいるんじゃないんだよ。
ぼうやが昼間、お外で駆け回っているときだって、ちゃーんと、きらめく太陽のそばにいるんだ。
ただ、お日さまの光はとってもとっても強いからね、星も月も、見えないだけなんだよ。でも見えないから、どこにもない、なんて思っちゃいけない。
いいかい?この世界には、目には見えなくても大切なものは、いっぱいあるんだ。
ぼうやには、それをたくさん見つけてほしい。どうだい、できそうかい?」
ちいさな男の子には、すこしむつかし過ぎたかもしれない。
それでも男の子は、いっしょうけんめい、聞いていた。それから、わたしの目を見つめ、大きくうなづいて、元気よく言った。
「うん、ぼくきっと、いっぱい、いっぱい見つけるよ!」
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