【エッセイ】
「きょうは、白いスニーカーがいいな」
冬の間さんざんお世話になった、黒いウォーキングシューズ
靴箱にしまって、かわりに白いスニーカーを取り出した。この白さ、なんだか懐かしい。
ふと、小学生の頃の“おろしたての運動靴”思い出した。
あの頃、新しい靴をおろすのは、遠足や運動会...いつも特別の日と決まっていた。前の夜、お父さんが運動靴のゴムのところに丁寧に書き入れた名前は少しにじんでいたけれど、まっさらな靴を履いた朝の、あの“晴れがましさ”は忘れない。
白さがキラキラまぶしくて、水たまりもよけて通ったものだ。
(あれから私、何足おろしたての靴を履いただろう...)
三月の空は青く澄んで、光りの粒をちりばめたような風が、
きらめきながら流れていく。とっておきの、おさんぽ日和(びより)。
新しい靴を履いた子どもみたいに、歩いてみよう......かな?
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