心音

Poem & CG by Akemi Murata



銀河ステーションにこだます発車ベルのように

起動音が鳴りひびき立ちあがる画面

モニターという窓の彼方から

さしてくる光りは

太陽でも月でも

ナイ


映し出される文字や画像は

デジタルなドットの集積

インクや絵の具の匂い

ざらっとした紙の

手触りすら

ナイ


温もりがナイ、血が通わナイ、味わいがナイ

仮想現実、虚構、逃避に過ぎナイ、アブナイ

くり返される警告と「ナイ」の呪文


だけど


キコエル 心音

カンジル 心温


この奇妙な箱型の

発光する窓の向こうには

またたく無数の窓たちが

アル


食器の鳴る音、テレビの騒音、笑い声、言い争い

雪が降っていたり、猛暑だったり、戦争だったり

窓の数だけ、それぞれ事情はちがっても

地球というおなじ船に乗り合わせ

いのちのハザマから、みんな

窓を覗いてる


システム終了、電源落とした

モニターには、自分の顔が

映ってる


そう、

「窓は鏡なんだ」







Comment


未知なる世界の扉が開かれようとする時

いつの時代も人は怯え、不安になるものです。

確かに混沌が生まれ、ネット犯罪も増えるでしょう。

でも「ナイの呪文」からは、けっしてナニも生まれない。

それよりは「アルの歌」を口ずさみながら行きませんか?

ひとりひとり自分の目の前にあるマシンを「鏡」だと

自覚すればきっと、だいじょうぶ。この「窓」から

出会ったステキな友人たちに愛を込めて

この詩を送ります。


Akemi



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