Vol.5




ヤモリの事情




光りはキライだ

出来るものなら

じめじめと


生涯

暗いすき間で

暮らしたい



とはいえ

何かと

事情はある


生きるためには食べねばならず

われらが食する虫たちは

やたらと光りに

群れたがる


ジレンマの絶壁を

今宵もヒタヒタよじのぼる


光りにさらされ 弓なりに反る

 わたしのカラダは

白い三日月


夜空に吠える恐竜の

見果てぬ夢でも謳おうか


光りに惹かれ

ちいさな羽根をふるわせて


もうすぐキミは

飛んでくる


わたしのいのちに

なるために






Comment


食べるということは残酷なことです。

いのちはいのちを生け贄にして、夢を紡ぎます。


けれど、このヤモリの写真を見ていたら

待つ姿に“いとおしさ”を感じました。


やがて訪れる瞬間は、

虫にとってはきっと残酷なものでしょう。

けれど、それは崇高な

愛の瞬間 でもあるのです。


Akemi


(このシリーズは、プロの写真家・飯島徹さんとのジョイント企画です)



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