KUMA's Room Part.40
くまの日常 <那須がまま編>
「クプカ家の大移動」
うわ〜っ、山も空も木もびゅんびゅん飛んで行く〜っ
おいらは、はじめてのドライブに興奮していた。 なんで、おいらがドライブしてるのかって? .....ま、それを話すまえに、ちょいと報告がある。
そもそも、あれは「五月のある日」のことだった。
おいらたちは突然、クプカ家の住人にダンボール箱に詰め込まれたんだ。「おい、そんなにギューギュー押すなってば!」
ボルボックルは、さんざん文句を言ったものだが、
ダンボール箱のフタは無情にも、あっさり閉じられた。せまくて暗い箱のなかで 「わたしたち、きっと捨てられるんだわ...」
カミラは、しくしく泣きはじめるし
おいらの顔には、ボルボックルの
ごわごわヒゲが、ちくちく刺さって
痛いったら〜ありゃしない。
「しんぱいしなくても、だいじょうぶだよ」
ノボックは、せいいっぱい明るい声で言ったけど
ナニガだいじょうぶなのか?いまいち説得力がなかった。
ま、ベラビックルだけは、べつに気にする風もなく
くーくー、いねむりしてたけどね...どれくらい時間が過ぎただろ? ぐらぐら揺れたり、どすんどすん運ばれたりしたあと
箱のフタがようやく開いた。すると、
まぶしい光りといっしょに、なつかしい声が聞こえたんだ。「さあ着いたわよ、みんな出てらっしゃい!
ココがあたらしいおうち、あたらしいクプカ家よ」どうやら人間が“ひっこし”とかいう「大移動」をしたらしい。 まぶしさに目が慣れると、すこしずつまわりのようすが見えてきた。 ああ、でもココは、住みなれたいつものクプカ家じゃない・・
すこし心細かったけれど、そこは好奇心のつよいおいらたちさっ。さっそく、キョロキョロまわりを見わたしはじめた。 「ねえ見て!あの窓のそと!」 だれよりも先に歓声をあげたのは、 箱の中でさっきまで、あんなにめそめそ
泣いていたカミラだったよ。