詩・人形・写真 村田あけみ
からイメージをふくらませ、わたしがボーカルもつとめる
音楽ユニット『ゆずりは』用に書いた『あかねさす』の詩です。
本当は、とても美しいメロディーがついています(須藤あつこ作曲)
(まだCD録音していないのでお聴かせ出来ないのですが・・・)その歌をこころに想い浮かべながら創ったら、こんな人形が生まれました。
はるかな万葉の世界から額田王が現れ出てくれたようで何だか嬉しくて雲のカタチのような流木のうえに乗せて写真に撮りました。 ちょうど空には、うすぎぬの衣のような雲が
たなびいている・・・秋のはじめの
ことでした。※現代語訳すると
「茜色の朝の光に満ちた、紫草が生い茂る野を歩いていると、
ここは天皇の御料地だというのに、あなたは私に向かってそんなに袖を振っていらっしゃる。
もしも見張りの番人が見ていたら、一体どうするのですか?」といった内容になります。ちなみに当時、袖を振る・・という仕草には求愛の意味があったそうです。
額田王は、この時、天智天皇の妻の一人でした。そして歌を贈った相手(額田王に向かって袖をふっていた人)
は何と、天皇の弟、のちに天武天皇となる大海人皇子(おおあまのみこ)です。
実は、額田王と大海人皇子(おおあまのみこ)は元々、子供までなした夫婦でした。兄である天皇が、弟から額田王を奪い妻にしたとされていますが
1300年以上も前のことですから謎も多く、確かなことは分かりません。ただ、この歌が、多くの人の心をとらえ今なお愛されていることは事実です。
それは、たった31文字のなかに、普遍的な感情や、恋のときめき(刹那)が
描かれているからかもしれません。歌の中からこぼれる様に、色彩や光景が
あざやかに浮かんでくる、みずみずしい歌です。-村田あけみ-