連作・絵ポエム『記憶の森』より

Vol.4
つぼみのように

詩・村田あけみ  絵・村田收


あなたは いろんなものを
運んできてくれる

雨上がりの 草のにおい
生まれたばかりの
春の予感

耳もとで ささやく詩は
まるで
音楽のよう

その指が 触れるたびに
わたしは すこしずつ

ほころんでいく

まるで 咲きかけの
つぼみのように

風に恋をした 妖精がいました

つかまえることのできない もどかしさに
消えてしまうほど 泣いてから

たいせつな思いに たどりついたのです

“ 風には 風のままでいてほしい ”

妖精はもう 泣きません

いまもどこかで
風の声を聞いていることでしょう

かすかに ほほえみながら


詩・村田あけみ

連作・絵ポエム『記憶の森』Vol.


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