道のソナタ
Poem & Photo by Akemi Murata

序奏 〜introduction〜



悲しいほど
   ひたむきに

切ないほど
   無邪気に

『道』が誘う -いざなう-

ひとすじ白く
   きらめいて

『道』が囁く -ささやく-

旅人よ
 わたしを
  たどってごらん

第一楽章
<Allegro moderato>
〜 Blue impression〜



青空につづく坂道

子どものように

駆けのぼる


鼓動は

アレグロ

坂の頂きは

ペルシアン・ブルー



〜摩周湖にて〜

第二楽章
<Andante cantabile>
〜Memory of Red〜


〜オーロラのような夕焼け〜




道はゆるやかに伸び

こころの水面も

しずかに

揺れる


陽が昇る“赤”

陽が沈む“赤”

おなじ赤はなく

すべて愛おしく

ひたひた満ちる

この旅の“赤”

忘れない

“赤”




〜オホーツク海に昇る朝日〜



第三楽章
<Allegretto>
〜Yellow Rondo〜

“つなぐ”

という宿命を

ロンドのように

くり返しながら


曲がった道も

旅人よ
  わたしを
     たどってごらん


あまく ほろ苦い

『道』の誘い-いざない-

旅人の胸をくすぐり 指さきは

風のように 大地を縫いとる


まっすぐな道も

どこかに

         通じてる

はるか彼方

道の先は

どうして

いつも

あんなに

青く滲んで

いるのだろう


詩と写真 村田あけみ

【END】



Comment


2007年9月31日から10月16日までの17日間

車中泊をしながら(参照:エッセイ『風のように旅したい』夫婦ふたりで
那須高原の我が家から北海道へ、走行距離3,430kmの旅に出ました。

旅は、画家の夫(村田 收)の絵の取材、スケッチ旅行が主な目的でしたが
わたしも何台かのデジカメを使い、旅の間、けっこう写真を撮りました。

帰ってから整理してみたら、無意識に撮った
『道』の写真も多く
それらを眺めていたら

音楽のソナタ形式にみたてて『道』の詩を書いてみたくなりました。


〜旅の相棒 NOMAD号〜

さて、車中泊ですが、大変な点もありますが、何より良かった点は、
ホテルや旅館に泊まったら、なかなか味わえないだろう、
その土地の匂いや、地元の人たちの暮らしぶりに
出会えたことでしょうか?

地元のお店やスーパーに入り買い物したり
(珍しいものがいろいろ見つかりますよ♪)毎晩のお風呂も、
地元の銭湯や立ち寄り湯(日帰り温泉)を使いましたから
観光客よりも、土地の人たちに多く出会えました。

これが実に、面白いのです。

農村には農村の(農村でも米どころと、じゃがいも生産地ではまた違う)
酪農地帯には酪農地帯の、また漁村には漁村の独特の雰囲気があり
会話の内容を小耳にはさむだけでも、なかなか風情があります。

しかも、お風呂や温泉はとっておきの情報源。

湯船のなかで隣り合わせた方に思い切って話しかけると、
裸のつきあい....ということもあり、旅人ということで興味も示して
いろいろ親切に教えて下さいます。おいしいもの、探し物など
地元のことは、その土地の人に聞くのが一番ですね。お陰で
安くて美味しい夕食がいただけたり、助かりました。

『道』は点と点をつなぐ、線だけではありません。

『道』のかたわらには、たくさんの命があり

さまざまな暮らしが息づいています。

あなたも、旅人になって

たどりませんか?


2007.秋 村田あけみ


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