島根/奥出雲の旅『たたら』

訪れた島根県雲南市は、たたら(古来の鉄づくり)においても『出雲の国風土記』(733年編纂)に『鉄(まがね)』の記載があるほど千年以上の歴史をもつ鉄の聖地。

『菅谷たたら高殿』 の内部
この漢字で『たたら』と読みます。

吉田町の『鉄の歴史博物館』で昭和40年代に制作された『踏鞴(たたら)』というタイトルの記録映画( 30分ほど)を観てから、菅谷たたら高殿に行ってヨカッタ。 そうでないと、たたらについて理解するのは難しかったかもしれません。

山の中にある『菅谷たたら高殿』(唯一現存する)へ。映画『もののけ姫』に出てくる“たたら場”のモデルにもなった場所とか。柿葺き(こけらぶき)の美しい屋根(クリ材の板13万5千枚使用)が見事です。鉄づくりで高く吹きあがる炎をさけるための高い屋根とそれを支える太い柱。どこか神殿のような雰囲気。


内部に屋根に使ったクリ材の見本と貼り方がありました。
間に銅板をはさんでいるようです。

その歴史を学ぶと想像を絶する過酷な労働と、世襲制でのみ引き継がれてきた高い技術力も見えてきました。まさに日本の魂に触れたような気がします。

かつて全国に流通する鉄の8割以上を産した中国山地の中でも、1751年~1921年までたたらの炎が燃え盛った『菅谷たたら高殿』(国の重要有形民俗文化財)最盛期の江戸時代にはココで一年に90回操業、生産量約290トンにも達したという記録も残っているそうです。砂鉄と木炭と釜土を用いて鉄を産む『たたら』は、近代的な鉄の生産で戦後ほとんど途絶えていましたが、たたら製法で得られる『玉鋼(たまはがね)』は日本刀づくりに欠かせないことからまた着目されているらしく、フランスはじめ海外からの視察団も多く来られるそうです。

高殿の中に入ると、天井まで約9メートル。操業時炎が2メートルくらい立ち上る時には屋根のてっぺんにある火宇内(ほうら)が開けられたとか。巨大な柱4本を軸とする空間は一辺18.2mの正方形。その中央に炉が土で築かれ、何本もの送風管を付けたフイゴが用意されています。フイゴに送られる風は最初は人力だったけれど後に水車を利用するようになったとか。

地上に見えている部分だけではなく地下まで(水蒸気爆発しないように)地底に排水溝を掘り(深さ5~6メートルに及ぶ大きな設備)砂利、木炭、粘土、大小の石を敷き重ね防湿、高温維持のための工夫を凝らしていたり・・その製法には、まだ科学的に解明されていない部分も多いそうです。

実際に画像でご覧になるのが、たたら製鉄を知る近道でしょう。

高殿の周りには深い山と美しいせせらぎがあります。木々が多く炭が作れたこともこの地にたたらが花開いた所以でしょう。この高殿のすぐ近くには見守るように桂の巨樹がそびえていました。

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